―18℃

urakov2006-03-01

 朝、目覚めると窓の外が明るい。晴天。宿を一歩出ると、間違いなく昨日よりも寒い。私の「寒さアンテナ」は鼻毛。鼻から息を吸い込んだときに鼻毛がはりつくようなら−10℃以下である。この日は、ばっちり鼻毛がはりついた。心なしか、まつ毛もはりつく気がする…。
 朝食の甘いオートミール(牛乳で調理したもの)と油をたっぷり含んだ、芋をすりつぶしただんご(のようなもの)を食べ、宿に戻る。そこで温度計が示していたのは−18℃。春のような陽気だった日本からは考えられない寒さだ。しかし、日中には気温が上がったので、気持ちよくトレーニングすることができた。

WAXTEST

 この日もワックステスト。グラファイトは有効ではないことがわかった。

アクシデント発生!

 明日はオフィシャルトレーニング(公式練習。決められた時間だけドロップダウンターゲットを射つことができる)しかし、今日はアンオフィシャルトレーニング。自分の好きなだけ矢を放ち、スキーを滑った。今回は団長のKomatsuさんが雑誌の取材も兼ねてきてくれている。Komatsuさんが私にカメラを向けたので、かっこよく滑ってみた。コースの内側いっぱいを攻めたその時、不意にわたしの体が後ろへ引っ張られ、「バチン!」という音とともに私は転倒した。
何が起きたのかはすぐにわかった。弓がコースのネットを立てている鉄の棒に引っかかったのだ。リム(アーチェリーを構成している部分)が壊れていなければいいが・・・。不幸中の幸いとはこのこと。ストリング(弦)が切れただけで済んだ。
出発時に念のため、交換用のストリングを1本持ってきていたので助かった。この予備ストリングはチューニングが済んでいないのでチューニングが必要だが、少し調整すれば大丈夫だ。もしこれをもってきていなかったらと考えるとぞっとする。去年の私なら対応できないアクシデントだったかもしれない。今年は何度か上田のアーチェリー場に通い、簡単なアーチェリーの調整も身に付けた。自分で簡単なアーチェリーの調整をできるようになってよかった。今回、切れてしまった弦を私に下さったMurakamiさんには申し訳ないが、あまり気にせずに競技に取り組みたい。
 交換したストリングでも矢は的によく当たった。こちらの弦のほうが良く的にあたるかもしれない(プラス思考)。

MEGA MARTへ


 ここ、オリンピックスポーツパークに2日前に来てからというもの、この敷地を一歩も出ていなかった。その理由は、第一にスーパーマーケットの場所がわからないこと。それならば少し歩いて探せば見つかりそうなものだが、それをしなかったのが第二の理由。というのは、ここMOSCOWにくるまえに「治安が悪い」ときいていたからである。また、ロシアは貧しい国だという先入観から自分たちだけで外出するのは危険だと考えたからだ(実際にみたMOSCOWは思っていたほど危険ではなさそうだったが・・・)。
 今回は昨日の夜、到着したOkudaさんと2人で出かけた。Okudaさんは語学が堪能である。また、物怖じしない性格でどんどん外国人に話しかける。この日の小さな冒険も私にとってはエキサイティングなものとなった。オリンピックパークの敷地を出た我々2人はバス停へと向かった。そこにやってきたのは1台の汚いワゴン車。この国に車検は無さそうである。そして、内装もやっぱり汚い。さらに良くないことに運転手が平気でタバコを吸っている。(ロシアはタバコ大国らしい)運賃は17ルーブル。約70円ほどであった。10分ほどで「MEGA MART」へ到着。そこは車の中から見るよりも広大な敷地で、その中にいくつ物店舗が並ぶ複合型ショッピングセンターであった。

 店内に入ると、私はあっけにとられた。でかい。かなりでかい。買い物に来ている人もとても多い。買い物客が大きなカートに商品をボンボン放り込んでいる。さすがMEGA。ここではソーセージがポピュラーな食べ物のようだ。(サラミのようなものらしい)すしも売っていた。みたところ、物価は日本とさほど変わらない。しかし、酒は安かった。ワインボトルがたくさん並んでいたが、100ルーブル前後のものが多い。(1ルーブルは約4円)

そして、ロシアといえばやっぱりウォッカ!たくさん並んでいました。それをカートの中に入れていく買い物客・・・。やっぱり飲むんですねぇ。寒い国だからでしょうか。
 一通りスーパーを回り、スリッパを購入(ホテルの室内で履く)。レジ待ちも「MEGA」だった。(長かった)

次に、私たちはビデオテープを求めて店内をさまよった。敷地の大きさが「MEGA」だけあって、電気店を探すのも一苦労。歩いている途中でスポーツ店発見。迷わず入店。後で分かったが、この敷地内に4件のスポーツ店が入っていた。さすが「MEGA」。電気店を発見した私たちはテープを購入。いざ帰路へ。
ここからが問題。乗り合いバスに乗ろうにも、乗り場が多くて、どこから乗ったらいいのか分からない。下手に車に乗ってしまうわけにはいかない。そこで私たちは少し歩くことにした。「MEGAMART」の敷地を出て少し歩くと、オリンピックパークまでは1本道になる。そこで車に乗ろうというのだ。その道まで近くはなかったが、15分ほどでその道に出た。しかし、バス停はなさそうである。道端で車のウォッシャー液を売っていたおじさんに尋ねると、ここで車を停めてくれるとのこと。少し待つと、来るときに乗ってきた車と同じような車がやってきて、その車に乗った。そして、無事にホテルに到着することができた。




イタリア、スロベニアアメリカ到着

 私たちはレースの4日前のよるにロシア入りした。そして今日はオフィシャルトレーニングの前日。しかし、不思議なことがひとつ。トレーニングをしているのは私たち日本選手とロシア選手だけなのだ。もちろん宿舎にも他の国の選手は来ていない。移動の疲れなどを考えると現地入りが遅すぎる・・・。このまま他の国が来なければ日本vsロシアの様相を呈してきた。さらに、昨日到着するはずのアメリカ選手、デイビッドも空港に現れなかった。と通訳(男子15歳)が話していた。デイビッドにいったい何があったのか・・・。
 しかしながら、夕食が終わってホテルへ戻ると(ホテルとレストランは別)、イタリアチームとスロベニアチームがホテルに集結していた!!やっと来たか!ちなみに昨日行方不明になったデイビッドもちゃんと到着していた。
 よく考えてみれば日本とロシア(モスクワ)の時差は6時間。私たちは時差ぼけを解消するために試合4日前に現地入りした。(本当はあと1、2日早く入っておきたかったが。)
一方ヨーロッパ諸国とモスクワの時差はおよそ2時間。ほとんど時差がないといってもいい。移動距離も少ないので移動による疲れも少ないのだろう。
 とにかく、みんなが到着して安心した。これでやっとワールドカップらしくなってきた。

デイビッド(アメリカ)