午後:パシュート競技(2.5km×4周/4射×3回)
午前のスプリント競技のタイム差でスタートしていく競技。
見た目の順位がそのままの順位になるので、非常に分かりやすい。
私とトップのロシア選手とは」33秒差。
たった1本の矢で逆転できる差だ。
スキーで無理をせずに、アーチェリーを確実に当てようと思った。
<1周目>
ほぼ同時にスタートしたロシアのKonstantinは去年のチャンピオン。
彼について行こうと思った。
しかし彼に去年ほどの走力は無く、500mほど滑ったところで私が抜いていった。
この時点で2位にあがった。
トップのロシアのPavelがすでにシューティングをしていたが、焦りからかミスしていたのが分かった。
スプリントの時と同じミスはしないように気をつけて射った私の4本の矢はすべてターゲットを倒した。
Pavelがペナルティーコースを回っている間に私はトップに立った。
この競技を始めて初めて世界の先頭を走ったことに興奮した。
この時点で私と後続との差は30秒ほどに開いていた。
2回目のシューティング。
3射目をミスし、ペナルティー1。
ペナルティーコースを1周してコースに戻ったが、後続の選手はまだシューティングレンジにいた。
<3周目>
3周目に入ると、後続との差が大きく開いた。
どうやら後続のシューティングがうまく行かなかったようだ。
3周目の中盤で、イタリアのナディア(女子選手)が後続との差が2分あることを教えてくれた。
今日のスキーの調子の良さを考えると最後のシューティングですべてミスしても勝てる気がして、精神的に楽になった。
そして3回目のシューティング(立ち射ち)。
午前のスプリントのときは足の震えからミスしたことを思い出し、丁寧に射った。
3本目までヒット。
まだ後続は来ない。
優勝を確信した。
4本目は一息入れて丁寧に射ってヒット。
観客から大きな拍手と歓声が上がったのが分かった。
大声で「よし!」と叫び、最終周へ。
<4周目>
最後はリズム良くすべり、ゴールへ向かった。
そしてストックを突き上げてゴール。
この瞬間、私は世界の頂点に立った。
よく当たり、よく滑った会心のレースは、終わってみれば2位に2分30秒以上の大差がついていた。
ゴールではOkudaさんがまっていてくれ、がっちり固い握手をした。
そのあと、インタビューをされたが、ロシア語が分かるはずもなく、通訳がそれを英語に翻訳してくれたが、うまく答えることが出来なかった。
試合の後、表彰式が行われた。
欲しくてたまらなかった金メダルをもらえたことにも感動したが、日の丸が一番高いところに上がり、「君が代」がロシアの地に流れたことにも感動した。
※恐縮ですが、本日の信濃毎日新聞にのせていただきました。
http://www.shinmai.co.jp/news/20070315/KT070314IWI090008000022.htm